転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 古い言葉で書かれてはいるが、百年ほど前のものということもあり、現在使われている言葉との共通点も多くあるから読みやすいと言えば読みやすい。
 イヴェリオも、一気にそれを読み解いて、それから眉間に深く皺を寄せた。

「……ベルザール王国が、今回も関わっていると思うのか?」
「わかんない……でも」

 当時のベルザール王国は、精霊使いの素質を持っている子供を集め、強力な精霊使いとして育てることを試みていたらしい。
 国内の子供を合法的に集めるならばともかく、エステリア王国の子供も拉致していたようだ。エステリア王国の情報部が動き、子供を拉致していた組織を壊滅させ、両国の間で精霊使いを目覚めさせる方法については焼却する方向で話が終わったようだ。
 百年たって、同じことを試みる者が出るとはびっくりである。

(とはいえ、百年って長いもんねぇ……)

 同じことを繰り返さないように、記憶と記録に残したようではあるけれど、百年もたっていれば、当時の記憶を持つ人は残っていない。
 百年前に、双方その記録は処分するということで決着をつけたとリリカが見ていた古文書には書かれている。

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