転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 ある程度清潔さを保てるように手配されていたはずだが、目の下に疲労の色を濃く浮かべたその姿からは、一国の貴族だという威厳はまったく感じられなかった。

(……変なの)

 リリカは、困惑した。
 捕らえられた彼を見たら、もっと何か違う感情が目覚めると思っていたのに。怒りとか、悲しみとか、そういう類のマイナスの感情。
 けれど、今のリリカは驚くほど平静だった。心の中に、波ひとつ立たない。

「……まるで、べつじん」
「リリカの目にはそう見えるか」
「あい。パパ。ちがうひとみたい」

 ヴォルガは、持っていた権力をすべて失った。それが、彼を今までとは別人に見せているのかもしれない。
 ベルザール王国からの使者が、前に進み出た。
 こげ茶色の礼服には、金の装飾が施されている。彼は、あえて無表情を保とうとしているようだった。

「我が国の者が、不(ふ)祥(しょう)事(じ)をおこしたことを深くお詫び申し上げます」
「不祥事、ね……そんな言葉ですませていいものなのかな。使者殿、私は、今回の件を重く見ています。この者やこの者の配下が行ったことは、決して許してはなりません」

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