転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 この世界の遺跡は、どんな意味を持っているのだろう。

「これとにてるの、あたち、みたことあゆ」
「ほんとう? どこで見たの?」

 リリカは小さな指で、報告書に添えられた絵をなぞった。

「まえのしぇかいで。こよみとかほちのかんしょくにつかってたとか……あとは、おはかとか、いろいろしぇつはあった」
「遺跡に行ってみようか。リリカの知っていることが、役に立つかもしれない」

 アークスが提案した。その声(こわ)音(ね)は、王としての威厳よりも、冒険を夢見る少年のわくわくした響きを帯びている。

「あたちもいきたい!」

 イヴェリオはわずかに眉を寄せた。宰相としても父としても賛成はできないのだろう。
 その表情のまま、彼はリリカの髪に手を伸ばし、そっと撫でた。以前とは違い、その手にためらいはない。

「ふたりでは駄目だ。私も行こう。それと、約束してほしい。危険を感じたら、すぐに言うこと」

 リリカは、ぱっと顔を輝かせた。満面の笑みだ。

「もしかしたら、リリカなら何か気づくかもしれないからな。行かないという選択肢はない」

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