転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 だからだろうか。
 イヴェリオとの関係が、物足りないと思ってしまうのは。
 彼との間に、信頼関係を築きたいと思ってしまうのは。

(贅沢、なのかもしれないけれど……)

 家族は良好な関係でなければならないなんて決まりはない。
 イヴェリオに、リリカを愛さなければならないなんて押し付けることもできない。
 ――でも。
 やっぱり、イヴェリオともう少し仲良くなりたいと思ってしまう。それが、リリカのわがままであるとわかっていても。


 イヴェリオと顔を合わせる機会がないまま、日は過ぎていく。いつの間にか、リリカの言葉はずいぶん達者になっていた。

「おんも、おんも!」

 マーサの袖を引いてねだる。
 そろそろ午後の散歩の時間である。外に行くのは楽しい。
 小さな子は、ある程度外の空気に触れさせた方がいいらしい。というのは、マーサが、執事のローゼスと話をしているのを脇で聞いて覚えた。
 外気に触れることで丈夫な身体になると信じられているようだ。ちなみに、ローゼスはマーサの夫である。

「リリカ様は、お散歩がお好きですね。ええ、すぐにお支度しましょうね」

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