転生幼女と宰相パパは最強コンビ

　靴下を履き、柔らかな革で作られた靴を履けば、散歩に行く準備は完了だ。

「……あーい！」

　外に出ると、真っ先に花壇のところに走っていく。マーサと護衛の騎士は、リリカのあとからついてくる。
　綺麗な花が咲いている。本当の赤ちゃんだったらむしってしまうかもしれないが、リリカは大人なのでそんなことはしない。
　代わりに、ぐるっと花壇のところを回り、側に生えている木の方に向かう。地面をじっと見て、小枝を拾い上げた。

「まーしゃ！」
「枝ですね。マーサが持ちますか」
「あたち！」

　自分で持つ、と意思表示をしておいて、リリカは枝を右手に握ったまま歩く。子供の身体は転びやすいので、気を付けなければいけない。

「ノニ！」

　花壇のところで作業をしている庭師に気づいて、リリカのテンションが上がる。
　口が上手に回らなくてきちんと名前を呼べていないのだが、彼の名はドミ。
　この屋敷で働く庭師の一人である。茶色の髪を長めに伸ばし、首の後ろで一本に束ねている。