転生幼女と宰相パパは最強コンビ
　苗や土を運んだり、土を掘り返したりする力仕事が多いからだろうか。彼の身体はがっちりとしている。何も知らなかったら、騎士だと思ってしまいそうだ。
　年の頃は、たぶん三十代に入ったところ。目立つタイプの美男子ではないが、大きな口でにっかりと笑う表情は好ましいものだとリリカは思っている。
　リリカとマーサを見ると「うっす」と頭を下げる。

「なぃ！　なぃ！」

　ドミが花壇の土を掘り返しているのを指さししながら聞いてみる。何をしているのかとたずねると、ドミはにっかり笑った。

「お嬢様の花」

　一応、公爵家の養女になっているリリカに対する態度としてはあんまりなのだが、ドミはあまり口が回るタイプではない。公爵家の人々は皆それを知っているので、ドミをたしなめるようなことはなかった。

「こないだ、好きって言った」

　よく話を聞いてみれば、前回顔を合わせた時にリリカが好きだと言った花を植えているらしい。
　イヴェリオは、屋敷に戻ってくることはほとんどないし、戻ってきても早朝や深夜。だから、庭の手入れをどうするのかについては、ドミに一任されているのだそうだ。
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