転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 窓の方に身体を向け、横になって眠っていたから、カーテンの隙間からわずかな光が入ってくるのが見える。
 ふと人の気配を感じて、仰向けになる。心配したマーサが来たのかと思っていたら、違った。

「……パパ?」

 ベッドをのぞき込んでいたのは、イヴェリオだった。
 眉間には深い皺。まだ二十代前半だというのに、彼の顔には疲れの色が浮かんでいた。

「パパ、おあよ」

 まだおはようございますには早かったかもしれないけれど、一応そう言ってみる。ぐるんと身体を転がし、よいしょ、と起き上がった。

「……起きているのか?」
「あい! パパ!」

 パパ、と呼ばれてイヴェリオはしかめっ面になり、リリカはしゅんとしてしまう。
 やはり、パパと呼ばれるのは不愉快だったか。

(一応、この人の養女になったはずなんだけど……)

 父と呼ぶには、イヴェリオは若すぎるか。
 じっとリリカのことを見ていた彼は、リリカに手を伸ばす。

「まだ寝ていなさい」
「……ぷぅ」
「起きる時間じゃないぞ。マーサを呼ぼう」
「だめ!」

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