転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 ぱっちりとした目に、ふくふくの頬。今は愛らしいという言葉がぴったりだけど、もう少ししたら美少女になりそうな整った顔立ちだ。

「こちら、誕生日プレゼントですよ」
「わあ!」

 テーブルの下で足をばたばたとさせながらタルトを食べていたら、目の前に絵本が差し出された。マーサが選んでくれたらしい。

「こちらは、旦那様からです」
「……うん」

 次に差し出されたのは、新しいドレス。
 水色のフリルとリボンで飾られたドレスは、三歳のリリカが着れば、天使のように見えるだろう。
 旦那様からとは言っているけれど、イヴェリオがリリカのためにプレゼントを選んでくれるなんてありえない。
 去年も、その前も、リリカには誕生日の記憶がある。
 一歳の時には、パンケーキとたくさんの果物でお祝い。二歳の時には、今日と同じようにフルーツタルトでお祝いした。
 けれど、イヴェリオは誕生日に会いに来てくれなかった。たぶん、リリカの誕生日ということも忘れているか知らないのだろう。

(……面倒ごとを押し付けられただけだろうし)

 イヴェリオとの距離は、近くなったとは言い難い。
< 44 / 265 >

この作品をシェア

pagetop