転生幼女と宰相パパは最強コンビ
「だって、パパ、あたちをたしゅけてくれたでちょ?」

 一応、死なない程度には世話をされていたが、ほとんどひとりでベッドに転がされていただけだった。
 もし、イヴェリオ達が助けに来てくれなかったら、あのままどこかに売り飛ばされていたのだろう。
 売り飛ばされた先で、精霊使いがどんな扱いを受けるのかは知らないが、絶対にろくなことにはならなかったと断言できる。
 それを考えれば、今は天国みたいだ。おいしい食事におやつ、ふわふわのベッド、愛情込めて世話をしてくれるマーサ他屋敷の使用人達。
 おまけに、どれだけ本を読んでも怒られないのだ。なんて、最高の環境なのだろう。

「……そうか。リリカの才能は、どこから来たのだろうな」

 それは、イヴェリオのひとりごと。でも、リリカはそれを聞き逃さなかった。
 ――もしかしたら。
 前世のことを話せば、イヴェリオはもっとリリカに仕事をくれるかもしれない。そうしたら、助けてくれたイヴェリオに恩返しもできる。

「パパ、おはなち、ちたいことがある。おじかんちょーだい」
「……夕食後でいいか? そうなると、あまり時間はとれないが……」
< 82 / 265 >

この作品をシェア

pagetop