転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 とはいえ、前世の日本人が、全員古文書を読み解けるかと言えばそうではなかったので、そういうものなのかもしれない。


 いつの間にか、ソファで眠ってしまったようだ。気がついた時には、寝間着に着替えさせられた上でベッドに移動していた。
 パッと目を開くと、すぐそこにイヴェリオがいた。

「パパだ」
「起きたか? もうすぐ夕食だぞ」
「あい、パパ。ごめんなしゃい、よだれついた」
「手入れしてもらうから大丈夫だ」

 抱き上げてもらったら、イヴェリオの服によだれがついた。
 当主の服は、執事が手入れすることになっているらしい。ということは、ローゼスがやってくれるのだろう。
 仕事を増やしてごめんなさい、と心の中で謝っておく。よだれは、自分ではコントロールできない。
 マーサに着替えをさせてもらい、夕食に向かうイヴェリオに合流する。
 前は手を繋(つな)ぐことはなかったけれど、最近、リリカと手を繋いでくれるようになった。

「――なあ、リリカ」
「あい」

 公爵家の長い廊下を歩きながら、イヴェリオが不意に問いかける。

「リリカは、どうして私を助けてくれようとするんだ?」
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