アリのように必死に。 そして、トンボのように立ち止まったり、後戻りしながら。 シジミチョウのように、柔らかな青に染まった翅を自在に動かして、私は飛んでいく。

14

もう、疲れた。

 めんどくさい。

 どうせ、私は後ろに居てついてくだけ。

 いる意味なんてないし、いたところで苦しいだけ。

 2人から目を話して他のものを見て、心を紛らわす。

 それにももう疲れた。

 目を背けようとしたところで、否応なくそのことが目に入ってきて、苦しくなる。

 どうせ、行ったところでいいことなんかないんだから。


 もう、行かなくていいか。

 
 大学を出ると、私の足は勝手に家の方向に進んでいった。

 頭がぼんやりしてくる。

 電車に乗ると、反対側の席に女子高生が2人で座っていた。楽しそうに。スマホを見せ合いながら。

 「いいなあ」

そう、感じたとたんに涙がこぼれる。
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