【完】オキナグサに愛を込めて
もちろん誰もヘルメットなんて被ってないから、カラフルな髪色に楽しそうに笑う顔や、挑発的に笑う顔が良く見える。

レンさんはいつも無表情。
でも何故だか魅力的で目が離せなくなる。


目の前を通り過ぎる時思わず息を飲んだ。


───何にも映さないようなその目がわたしを見ていた気がした。


それは気のせいかもしれないし、見間違いかもしれない。
そのくらい一瞬だったから。

ううん、きっと見てくれてた。

………やっぱりわたしの願望かも…。


アイドルのコンサートで目が合った合ってない論争のような、そんなありもしない事を自問自答しながら、黒龍のメンバーが、レンさんが戻ってくるのを待っていた。
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