きっとこの恋は忘れない。
16話 満桜side 12月31日
それは最悪の目覚めだった
今日は俺の誕生日
目が覚めると目の前には親がいたその後ろにつまんなそうに俺を見つめる妹
誕生日にしか会いに来ないし、それに空気が重たい
「早く起きなさいよ」
「おはよ母さん、父さん」
重たい空気の中お母さんの口が開いた
「足、動かなくなったんだね先生から聞いたよ」
「あ、うんでも大丈夫だよ」
「どうせもうすぐ死ぬんだし動かなくても大丈夫でしょ」
そう妹が言った
こいつはほんとに俺の妹なのか?と疑ってしまうくらい人として、最低なことを口に出した
その発言をこの親達は一切否定しない
親もそう思ってるからだろう
もし仮にこの病気が治って家に帰っても、この冷たい家族に俺の居場所は無い
どうせなら早く死んでくれとでも思っていそう
妹は特に。多分きっと家で甘やかされて育てられてそうだ。だからこんなひねくれた性格になるんだ。ほんとに俺はこの家族と血が繋がってるのか?
早く帰ってくれないかな
あぁリナに会いたい
リナの声を聞いて落ち着きたい
「満桜これ誕生日プレゼント」
そうお父さんが差し出してきた物は俺には絶対似合わないピンク色の服。しかもサイズも違う。適当に買ってきただろこれ
俺ピンク好きじゃないのに.....
「あ、ありがとう」
そう口にしたけど、本心ではまったく嬉しくなかった。苦笑いすらできない
お母さんはまた何か言いたそうにしてたけど、お父さんが軽く手を置いて止めた。
妹はスマホをいじって、つまらなさそうにしてる。
この時間なんなんだよ........
ふと病室の扉を見るとリナがいた
リナも、この空気感を察したのか気まずそうにして入るか戸惑ってるように見えた
「そろそろ帰ろっか」
「うんっ!!」
さっきまで無表情だった妹が笑顔で返事をした。そんなに嫌なら来んなよ。まぁどうせ今年には死ぬし二度と会わないだろう。正直名前も覚えてない
ようやく親たちが出ていった。
朝からストレスのせいかちょっと頭痛がする
入れ替わるようにリナとその妹らしき人が入ってきた。
その妹の名前は、ミオと言った
血は繋がってないって聞いてたけど俺と妹を比べるとリナ達は性格も雰囲気も違うのに本物の姉妹に見えた
俺もこんな妹が欲しかった.....
ミオの人を巻き込む性格のおかげですぐに仲良くなることが出来た
それにしても今日は体調が悪い
リナが作ってくれたケーキは食べる前から美味しそうな匂いがした。俺の好きなチョコケーキだった。
「満桜くんこのケーキリナが作ったんだよ。不味かったら別れなよ」
って冗談言われた時は思わず吹き出してしまった
「え〜、美味しくなくてもリナちゃんが作ったら美味しく感じるよ??」
俺がそう返すと、リナは顔を真っ赤にして俯いてた。
照れ隠しするようにリナが「バカップルだもん!ね〜満桜」とか言いながら、俺の手をぎゅっと握ってきた。
リナは相変わらず可愛いなぁ
ミオに後で写真送ってもらお
もうほんとに何なんだろう。
今までこうしてケーキとか風船とか用意してくれて、ちゃんと誕生日を誰かに祝って貰えたことなんてなかった。こんなに俺幸せになっていいのかな。
もっと前にこの姉妹に、リナに出会いたかった。
リナはバイトで貯めたお金で天体望遠鏡をくれるらしい
今日は重くて持って来れなかったみたい。
だけど本当に嬉しかった。
俺のためにそんな大金を使ってくれることが
俺のことを考えて選んでくれたことが
嬉しくて泣きそうになった。
ミオから火を吹き消す時に願い事してって言われた。
俺の願い事は
リナとこの先もずっと一緒に入れますように…
だけど多分叶わない
どれだけ願ってもこの願いは届かない
神様は酷い人だ
こんなに幸せにさせるくせに現実はそう甘くない
リナの作ってくれたケーキはすごく美味しいのに1口食べる事に気分が悪くなって半分しか食べれなかった。せっかく作ってくれたのに情けない
あぁこの感じ久しぶりだこのままじゃ倒れる
この明るい空気の中俺は必死にしんどいのを我慢した。だけどそんなことにすらリナは気づいてくれるのに俺は「大丈夫」って言い切って、本当は大丈夫なんかじゃないけど。この幸せな空間を俺のせいで壊したくなかった。
この2人に迷惑なんてかけたくない…
夜中に病院を抜け出して見る花火は格別だった。
夜中に抜け出すのも花火を見るのも初めてで、でもいつもの俺ならテンションが高くてはしゃいでたはず。
なのに今日はそんな気分にはなれなくて体の限界だった。
リナと見る花火は俺の体に心に刻まれた。
「もうこれでリナと花火を見れるのは最後だろう」そう思うと自然に涙が出ていた。
まだ死にたくないそう思わせるリナはずるい。
ここで終わりだなんて絶対嫌だ
この線香花火が落ちる前にリナに伝えたい
「リナちゃんありがとう。俺のこと、ちゃんと好きでいてくれて」
これはちゃんと伝えておきたかった。
俺にとって、リナはそれほどまでに大きな存在だった。
「バカ、言わないで」
そう悲しそうな顔をしたリナの声が少し震えてて
この瞬間が永遠だったらいいのにって、本気で願った。
この人の全てが、
俺にとって生きてる意味だった。
「リナちゃんの全部が、俺にとって……」
そう口にした時だった。
ぱちっ……
手に持っていた線香花火が、最後の火花を散らして静かに落ちた。
と同時に除夜の鐘が鳴った
年が明けた
新しい年が始まったはずなのに、
俺の中では何かが崩れた気がした。
視界がぐちゃぐちゃに歪む。
さっきからずっと我慢してたけど、もう限界だった。
体の奥から力が抜けていく。
車椅子から崩れるように落ちていく。
頭の中が、ぼんやりとして遠くなる。
リナの顔が霞んで見えなくなる。
身体がどんどん、どんどん、下に引っ張られていく。
遠くで聴こえるリナの声に反応することが出来なかった
俺、ここで死ぬんだ…
何度も俺の名前を叫びながら泣いてるリナを片隅に意識が途切れた
まだ何も言い足りてないのに……
さよならも何も言えてないのに
まだこんな所で死ねない
俺のせいで泣いてるリナを抱きしめてあげないと。
もう一度、リナに「好き」って言いたい。
まだ伝えられてない気持ちが、こんなにあるんだ。
もうちょっと、
もう少しだけ、神様。
時間をください____
今日は俺の誕生日
目が覚めると目の前には親がいたその後ろにつまんなそうに俺を見つめる妹
誕生日にしか会いに来ないし、それに空気が重たい
「早く起きなさいよ」
「おはよ母さん、父さん」
重たい空気の中お母さんの口が開いた
「足、動かなくなったんだね先生から聞いたよ」
「あ、うんでも大丈夫だよ」
「どうせもうすぐ死ぬんだし動かなくても大丈夫でしょ」
そう妹が言った
こいつはほんとに俺の妹なのか?と疑ってしまうくらい人として、最低なことを口に出した
その発言をこの親達は一切否定しない
親もそう思ってるからだろう
もし仮にこの病気が治って家に帰っても、この冷たい家族に俺の居場所は無い
どうせなら早く死んでくれとでも思っていそう
妹は特に。多分きっと家で甘やかされて育てられてそうだ。だからこんなひねくれた性格になるんだ。ほんとに俺はこの家族と血が繋がってるのか?
早く帰ってくれないかな
あぁリナに会いたい
リナの声を聞いて落ち着きたい
「満桜これ誕生日プレゼント」
そうお父さんが差し出してきた物は俺には絶対似合わないピンク色の服。しかもサイズも違う。適当に買ってきただろこれ
俺ピンク好きじゃないのに.....
「あ、ありがとう」
そう口にしたけど、本心ではまったく嬉しくなかった。苦笑いすらできない
お母さんはまた何か言いたそうにしてたけど、お父さんが軽く手を置いて止めた。
妹はスマホをいじって、つまらなさそうにしてる。
この時間なんなんだよ........
ふと病室の扉を見るとリナがいた
リナも、この空気感を察したのか気まずそうにして入るか戸惑ってるように見えた
「そろそろ帰ろっか」
「うんっ!!」
さっきまで無表情だった妹が笑顔で返事をした。そんなに嫌なら来んなよ。まぁどうせ今年には死ぬし二度と会わないだろう。正直名前も覚えてない
ようやく親たちが出ていった。
朝からストレスのせいかちょっと頭痛がする
入れ替わるようにリナとその妹らしき人が入ってきた。
その妹の名前は、ミオと言った
血は繋がってないって聞いてたけど俺と妹を比べるとリナ達は性格も雰囲気も違うのに本物の姉妹に見えた
俺もこんな妹が欲しかった.....
ミオの人を巻き込む性格のおかげですぐに仲良くなることが出来た
それにしても今日は体調が悪い
リナが作ってくれたケーキは食べる前から美味しそうな匂いがした。俺の好きなチョコケーキだった。
「満桜くんこのケーキリナが作ったんだよ。不味かったら別れなよ」
って冗談言われた時は思わず吹き出してしまった
「え〜、美味しくなくてもリナちゃんが作ったら美味しく感じるよ??」
俺がそう返すと、リナは顔を真っ赤にして俯いてた。
照れ隠しするようにリナが「バカップルだもん!ね〜満桜」とか言いながら、俺の手をぎゅっと握ってきた。
リナは相変わらず可愛いなぁ
ミオに後で写真送ってもらお
もうほんとに何なんだろう。
今までこうしてケーキとか風船とか用意してくれて、ちゃんと誕生日を誰かに祝って貰えたことなんてなかった。こんなに俺幸せになっていいのかな。
もっと前にこの姉妹に、リナに出会いたかった。
リナはバイトで貯めたお金で天体望遠鏡をくれるらしい
今日は重くて持って来れなかったみたい。
だけど本当に嬉しかった。
俺のためにそんな大金を使ってくれることが
俺のことを考えて選んでくれたことが
嬉しくて泣きそうになった。
ミオから火を吹き消す時に願い事してって言われた。
俺の願い事は
リナとこの先もずっと一緒に入れますように…
だけど多分叶わない
どれだけ願ってもこの願いは届かない
神様は酷い人だ
こんなに幸せにさせるくせに現実はそう甘くない
リナの作ってくれたケーキはすごく美味しいのに1口食べる事に気分が悪くなって半分しか食べれなかった。せっかく作ってくれたのに情けない
あぁこの感じ久しぶりだこのままじゃ倒れる
この明るい空気の中俺は必死にしんどいのを我慢した。だけどそんなことにすらリナは気づいてくれるのに俺は「大丈夫」って言い切って、本当は大丈夫なんかじゃないけど。この幸せな空間を俺のせいで壊したくなかった。
この2人に迷惑なんてかけたくない…
夜中に病院を抜け出して見る花火は格別だった。
夜中に抜け出すのも花火を見るのも初めてで、でもいつもの俺ならテンションが高くてはしゃいでたはず。
なのに今日はそんな気分にはなれなくて体の限界だった。
リナと見る花火は俺の体に心に刻まれた。
「もうこれでリナと花火を見れるのは最後だろう」そう思うと自然に涙が出ていた。
まだ死にたくないそう思わせるリナはずるい。
ここで終わりだなんて絶対嫌だ
この線香花火が落ちる前にリナに伝えたい
「リナちゃんありがとう。俺のこと、ちゃんと好きでいてくれて」
これはちゃんと伝えておきたかった。
俺にとって、リナはそれほどまでに大きな存在だった。
「バカ、言わないで」
そう悲しそうな顔をしたリナの声が少し震えてて
この瞬間が永遠だったらいいのにって、本気で願った。
この人の全てが、
俺にとって生きてる意味だった。
「リナちゃんの全部が、俺にとって……」
そう口にした時だった。
ぱちっ……
手に持っていた線香花火が、最後の火花を散らして静かに落ちた。
と同時に除夜の鐘が鳴った
年が明けた
新しい年が始まったはずなのに、
俺の中では何かが崩れた気がした。
視界がぐちゃぐちゃに歪む。
さっきからずっと我慢してたけど、もう限界だった。
体の奥から力が抜けていく。
車椅子から崩れるように落ちていく。
頭の中が、ぼんやりとして遠くなる。
リナの顔が霞んで見えなくなる。
身体がどんどん、どんどん、下に引っ張られていく。
遠くで聴こえるリナの声に反応することが出来なかった
俺、ここで死ぬんだ…
何度も俺の名前を叫びながら泣いてるリナを片隅に意識が途切れた
まだ何も言い足りてないのに……
さよならも何も言えてないのに
まだこんな所で死ねない
俺のせいで泣いてるリナを抱きしめてあげないと。
もう一度、リナに「好き」って言いたい。
まだ伝えられてない気持ちが、こんなにあるんだ。
もうちょっと、
もう少しだけ、神様。
時間をください____


