日常の向こう側
Where is this?
階段はひたすら続いている。

下へ下へと。

僕の裸足を通して、床の冷たさが伝わってくる。

先ほどからただひたすら下っている。何回踊り場を折り返しただろうか?

おおよそ四つめの踊り場を通過すると長い長い通路がそこにはあった。
苦悶の表情を浮かべた無数の人が犇めき合っている。


僕は掻き分けた。夢中になって人を掻き分けた。
ある者は僕の肩を力強く掴もうとする。
僕は避ける。
ある者はただこちらを虚ろに眺めている。
僕は無視する。
ある者は助けを乞うてくる。
僕は苦言を吐く。



随分と走ったところで昇り階段がその姿を表した。
僕はひたすら駆け上がる。

無我夢中で。
どれだけ駆け上がっただろうか?
徐々に速度を緩め、ふと歩みを止めた。

目の前では階段が途切れ深い闇が大口を広げ構えている。



闇の奥底にはもう一人の僕が顔を歪め笑っていた。
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