日常の向こう側
後日、俺は一人で街を歩いていた。
やはり男たるものプロポーズは自らすべきと思い直しその為の指輪を探しに来ていた。そして背中背負う小さめなドラムバッグには件の水晶が息を潜めている。
「まさか役に立つ日が来るとはな・・・」
そう一人呟き、目星を付けていた宝石店の中に入った。
流石は目星を付けていた高級店とでも言うべきか。
ドアの付近には店員が二人立っており、入るやいなや「いらっしゃいませ。」と声を揃えて頭を垂れた。
何だか気恥ずかしくなり、軽く会釈をし店内に歩をすすめる。
「うぉ・・・」
予想はしていたとは言え、ガラスケースの中にある指輪はどれも
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