日常の向こう側
翌日、俺は二限の経済学の時間にいつもの様に惰眠を貪っていた。
自慢じゃないが俺の通っている大学は四流の中の四流。
授業の間は生徒が思い思いの事をしている。
化粧をする女。携帯を弄る男。いちゃいちゃとペッティングをするカップル。大声で話すバカ集団。そして、虫が泣くような声で授業をする教授。
そんななか惰眠を貪っていたところで不真面目などと目立つことはなく、むしろ授業の邪魔をしないだけ優等生と言った所だろう。
と、ある瞬間視線を感じる。ただ誰かがたまたま見ているだけ?
否。これはもはや死線を越えた者の視線。
連想するは奴。

教壇の上で当たり前のように鎮座していた。
わりかし前の方の席に座っているため死線と視線とがぶつかり合う。
俺はその死線を避けない。いや避けられないのだ。
何故かは分からないが目を反らせない。
突如教室内で大音量の着信メロディが響き渡った。
その音にハッとすると生首は姿をいつものように消していた。

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