ゆびさきから恋をする
 そうなるとできるヤツに仕事を任せるのは当然で。その結果、彼女にウエイトがかかってくる。バランスよく振って効率を上げられるのがベストだけれど、段取り良くて手も速い彼女がミスもなくさばいていけば割り振る方が生産性が悪くて……。

(結局、菱田さんがひとりで試験件数あげていくんだよな……)
 
 急ぎや大事な案件は自ずと彼女に回していく。できるヤツはどんどん成果を上げてできないヤツはできた風を見せつけてそこそこで満足して結果伸びしろがない。

 給料泥棒かよ、は本音だけれどそんなこと言えるわけもなく。まして上司の立場としてはモチベをうまくあげさせてそれぞれに出来ることを割り振ってそれなりの成果を出させなければならない。残念なことになんでも数値として表れてしまう以上誤魔化せないし受け止めるしかないのだが。

 人を使うのは難しい。

 ましてや自分が求めるものに120パーセントほど応えてくれる人間なんかそうそういないものなのだ。

 でも――。

 俺には頼れる子がいる。
 安心して仕事を任せられる部下の存在……それは思っている以上に毎日の仕事に、俺の仕事の支えになっていた。
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