エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい
 今、契約結婚て言った?どういうこと?

「どういうことだって顔してるな。簡単に言うと、俺の祖母を安心させるために妻のふりをしてほしい。実はもう婚約者がいます、って言えば祖母も安心するだろうし、両親だって今みたいにうるさく結婚しろって言わなくなるだろうからさ。ニーナはそもそも結婚に興味がないだろ?そんなニーナだからこそ、頼めることだ。他の令嬢だと、そのまま本気になられそうで怖いしめんどくさくなりそうだからさ」

 まあ、確かにガイア相手だったら、契約結婚のフリしてそのまま本気で妻の座に居座りそうな令嬢ばかりな気がする。

「それじゃ、ガイアの家族に嘘をつくってこと?それに、私なんかで大丈夫なの?正直、ボロが出ない自信がないんだけど」

 そんな簡単にうまくいくものだろうか?うーんと首を捻っていると、ガイアはニヤッと笑みを浮かべた。おおう、随分と悪い顔をしていますね、ガイアさん。

「まあ、頻繁に家に帰るわけじゃないし、祖母に顔を見せるだけだから。諸々落ち着いたら、もちろん婚約は解消してくれて構わない。俺を一時的にでも助けると思って、この通り!」

 そう言って、ガイアは両手をパチンと合わせて頭を下げる。ああ、そんな正装したイケメンが頭を下げるなんて……なんか私が悪いことしてるみたいな気持ちになっちゃうじゃないか。

「わかった。うまくできるかどうかはわからないけど、私でいいならやってみる」
「本当か!よかった!ありがとう、恩に切る」

 そう言って、ガイアは私の両手をぎゅっと握り締めた。礼服に身を包んでいるからなのかな、なぜかガイアの瞳に熱がこもっているような……?いや、気のせいだよね。

 そう、軽く思っていたその時の私を、ぶん殴ってやりたいと未来の私は思うことになる。

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