幼なじみが連れてきた結婚相手がすごい俺様だった話
 


「……お、おかえり」

 なんだろう。
 いっぱい、どどどどっと帰ってきたぞ、とソファで雑誌を見ていた晴乃は思う。

 いや、帰ってきたのは、杏奈ひとりなんだが、そういう雰囲気だ、と勢い込んで乗り込んできた、杏奈、美佳、充悟、大輝を見る。

 まあ、大輝はちょっと困ったような半笑いを浮かべていたが。

 目に浮かぶようだな、とちょっと思った。

 大人になっても彼は、こうして、杏奈に振り回され続けて――

 でも、いつもちょっと幸せなのだろう。

 学校も違うのに、いつも一緒にいるのは、やっぱり、杏奈といたいからだろうから。

「あっ、お前、なに転職情報誌なんて読んでるんだっ。
 転職どころか、今の職がないだろっ」

「おねえさま、おねえさまは、今の充悟さんがお好きなんですよねっ」

「晴乃さまっ、野菜を切る練習をひとり黙々とする男の方はお好きですか?」

「あの、そこに洗濯物らしきハンカチが飛んできてました」

 ……ありがとう、と大輝の手から、ハンカチを受け取りながら、晴乃は苦笑いする。

 なんだろう。
 全員に怒涛の勢いで詰め寄られている。

 大輝くん以外……。

 っていうか、黙々と野菜を切る男ってなに……?
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