【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
と、そんな過去が、俺と由希くんとの間にはあった。枯れたきゅうりの葉は、結局捨てられなくて、由希くんには伝えられないままこうしてしおりに挟んである。

 由希くんからもらった手紙の返事を書いて、手紙は迷惑じゃないから絶対に捨てないって伝えようか。手紙を渡して、由希くんに嫌がられないかな? 由希くんは優しいから受け取ってくれるとは思うけど、迷惑じゃないかな? やっぱり書くの辞めようかな。でも、もし書かなかったら、明日からもふたりは挨拶しかしない、今まで通りの毎日だ。

 迷ったあげく、俺は手紙を書くことにした。

 まずは、手紙を書く便箋と封筒が必要だ。でも可愛い便箋なんて、持ってないな。スマホを持つと、ネットで可愛い便箋のイラストを探した。どれがいいかな。由希くんはトマトの便箋でくれたけれど。畑繋がりで、きゅうりはどうだろうか。『きゅうり』『可愛いイラスト』『便箋』で検索していくと、由希くんみたいにふわっとした水彩画のきゅうりのフリーイラストが描かれた便箋と封筒を見つけた。早速、画像をプリンターに送り、印刷した。印刷されたきゅうりをしばらく眺めた。

――ずっと心残りな、嫌がらせできゅうりの苗を抜いたんじゃないって誤解のことも書こうかな。

 しばらく書く内容がまとまらなくて悩む。由希くんのことになると、本当に悩んでしまう。
< 22 / 105 >

この作品をシェア

pagetop