【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
「律は、暇?」

 袴田くんが律くんも誘う。反応が気になって周りの音が一瞬で遮断された。

「俺は行かない」

「また断られた。いつも断ってくるよな?」
「そういうの、めんどくさいから」

 無表情で淡々と断る律くん。僕はそんなふうに断れる律くんをカッコイイなと思う。

「相変わらずクールだな。じゃあ、とりあえず綿谷、駅前のカラオケエターナルに集合な!」

 そう言うと、袴田くんは僕に背を向け他の人に話しかけようと、教室全体を見渡す。

「カ、カラオケ……?」

 カラオケって、もしかして人前で歌わないといけないのかな。元々歌うの苦手だし、正直行きたくないな。しかもそんなに仲良くない人と、知らない人たちの中で歌うなんて――。想像するだけで血の気が引いてきて、頭がクラクラしてきた。僕は誰にも見られないように、うつむいて眉をきゅーっと中心に寄せた。

「袴田、やっぱり俺も行こうかな」

 律くんの言葉を聞くと、僕は顔をぱっと上げて、律くんの方を向いた。

「本当か? 助かる。よし、人数集まった。したっけ、また後でな!」と言いながら袴田くんは去っていった。

律くんは穴があきそうなほどに僕を凝視してくる。僕は、気持ちが高まり律くんと目をそらさなかった。

――だって、律くんと遊べることが嬉しかったから。

……カラオケだけど。

「一緒に向かうか?」
「い、一緒に行っても、いいの?」

 無言で頷く律くん。
 僕なんかと一緒に歩くの、嫌じゃないのかな?

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