【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
――あっ、お母さんのプレゼントも玄関に置きっぱなしだ。

僕はお母さんにバレないようにささっとカーネーションの袋を持ち、隠しながらリビングを通り部屋に行く。荷物を床に置いて水色のベッドに座ると、ゆっくりと息を吐く。そしてついに、封筒を開封した。

『綿谷へ 手紙は迷惑じゃないから捨てない。あと、四年生の時のきゅうりは意地悪をして抜いたわけじゃなくて、綿谷が枯れたきゅうりを見る度に悲しい顔になるのが嫌だったから。あの時のきゅうりの代わりになるか分からないけれど、今年まだきゅうりの苗を準備していないなら、俺が準備したい 光田より』

 鮮明に覚えている。あの時、律くんに「嫌い」ってはっきり言ってしまったこと。律くんは僕のために苗を抜いたの――?
 
 あの時から気まずくなっちゃって。

 本当は嫌いじゃなかったのにって、あの時言ってしまった言葉にずっと後悔していた。
 律くんのことが本当に嫌いな時なんて、一度もないのに。

律くんはずっときゅうりの苗のことを気にしてくれていたんだ。律くんへの色んな思いが一気に重なって、涙と一緒に気持ちがぶわっと溢れてくる。

――僕は、最低だ。

『律くん、ごめんなさい。』

 律くんと、もう一度仲良くなりたい――。
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