【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
あっという間にバスはうちの近くのバス停に着いた。そしてアパート前まで一緒に並んで歩いた。

「これ、きゅうりの苗」

 律くんからオシャレな方の袋を渡された。こっちに苗が入っていたのか――。

「ありがとう。あの、苗のお金……」
「いや、いらないから。あと、綿谷に似てる花も買ったから畑に植えといて?」

 そう言うと律くんはささっと家の中に入っていった。
 僕は律くんの家のドアをしばらく見つめたあと、自分も家の中へ。そして早速袋から苗を出して玄関の床に並べた。

 きゅうりの苗と、小さくて細かいつぶつぶしている花の苗がふたつある。

 リビングにお母さんがいたから、花の苗をひとつ持つ。

「お母さん、これ何の花か分かる?」
「アリッサムだよ」

 律くんはこの花が僕に似ていると言っていた。
 こんなイメージなのか――。

「律くんがね、この花が僕に似てるって。どういう部分がかな……地味とか消極的な感じとかかな」
「律くんとお話したんだ? お母さん的には消極的な感じはしないけどな。小さいけれどふわって頑張ってアピールしてて、とにかく可愛い花だと思うよ。律くんに直接どんな部分が似ているのか聞いてみたら?」
「……そうだね」

 お母さんと一緒に微笑んだ。

 大切な苗たちを玄関に並べたあと洗面所で手を洗ってからすぐに部屋に行こうとした。

< 35 / 105 >

この作品をシェア

pagetop