【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
『好き』

 その言葉に胸の奥が熱くなり、締め付けられた。由希くんの『好き』は、きっと友達としての気持ちだ。でも、俺の心はそれだけで溢れそうだった。

 何故か涙が出そうになってきた。漕ぐことと涙を我慢することにいっぱいいっぱいで、何も言えない。気持ちを落ち着かせながら言葉を探す。

「俺も、由希くんのことが、好きだよ――」

 由希くんの好きと、俺の好きは意味が違うけれども。探して見つけた言葉はこれだった。

「ありがとう、嬉しい! 律くん、そっけなくしちゃって、ごめんね」

 青色が広がる空と、輝く太陽。
 光が反射し、揺らぎながら輝く水面。
 背景に負けないぐらいにキラキラしている由希くんの笑顔――。

「俺の『好き』は、恋人になりたい、由希くんの一番でありたいって意味の、好きだから――」
 
 伝える予定はなかったのに。

 キラキラしている由希くんを見つめていたら、ずっと喉の奥に詰まっていた言葉が、抑えきれず溢れてきた。心臓が早鐘のように鳴り、声が少し震えた。言い切った瞬間、胸の奥が熱くなり、同時に由希くんがどんな反応をするのか予想ができなくて、怖さも込み上げてくる。

由希くんは大きく目を見開いた。水面と俺が映る、由希くんの瞳は揺れているようだった。唇を小さく動かし、言葉を探しているように見えたけれど、すぐに俯いてしまった。ほんの少し、由希くんの頬が赤くなっている気がした。

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