【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
着いたのは、スワンボートの受付だった。由希くんは俺の手をぱっと離すと、財布をハーフパンツのポケットから出した。そして由希くんは財布を覗くと「あっ……」と声を漏らした。お金が足りないのかな……。チラリと料金表を見ると、スワンボートは三十分で八百円だった。
されるがままの俺は、由希くんの次の言葉を待った。
「律くん、三百円ある?」
「さ、三百円! ある!」
俺は速攻で自分の財布から三百円を出すと、由希くんに渡した。由希くんはそれを受け取ると受付に「スワンボートお願いします」と言い、チケットを受け取る。
「もしかして俺と一緒に、乗ってくれるのか?」
「うん」
「俺とで、いいのか?」
「律くんとがいい……」
由希くんはさっきまで俺の手を引っ張るなんて積極的な行動をしていたとは思えないほどにモジモジしだした。俺もつられてモジモジしてくる。
スワンボート前に待機しているおじさんの指示にしたがう。俺が先に乗ると、由希くんのバランスが崩れないように手を差し出す。由希くんは俺の手を掴んでくれた。
「由希くん、お金多く出してもらったから俺が漕ぐ」
「あ、ありがとう……」
スワンボートは自転車のように、足元のペダルを漕いで進んでいく。予定では俺が全額出しても、俺がたくさん漕ぐつもりでいたけれど。しばらく無言なふたり。スワンボートは静かな水面を滑るように進む。水が小さくチャプチャプと音を立て、由希くんの茶色い髪がそよ風にふわっと揺れていた。
少し経つと「水の周りだからか、風が冷たくて気持ちいいね」と、由希くんはわずかに微笑んだ。
速かったらもっと涼しくなれるかな?と、俺は今よりもスピードを上げて漕いだ。速すぎると由希くんが怖がりそうだから、少しだけ。由希くんもあまり力を入れないでペダルに足を乗せて、気持ち漕いでいる感じだったけど、足をペダルから離して風を感じ始めた。目を閉じて、爽やかな表情――。
由希くんの頬に触れたくなった。
だけど今触れると、由希くんは動揺してしまうだろう。由希くんを気にしながらも前を見て漕ぐことに集中した。
由希くんは湖面を見つめ、静かに口を開いた。
「律くん、僕ね、トマトが嫌いな律くんも、好きだよ――」
されるがままの俺は、由希くんの次の言葉を待った。
「律くん、三百円ある?」
「さ、三百円! ある!」
俺は速攻で自分の財布から三百円を出すと、由希くんに渡した。由希くんはそれを受け取ると受付に「スワンボートお願いします」と言い、チケットを受け取る。
「もしかして俺と一緒に、乗ってくれるのか?」
「うん」
「俺とで、いいのか?」
「律くんとがいい……」
由希くんはさっきまで俺の手を引っ張るなんて積極的な行動をしていたとは思えないほどにモジモジしだした。俺もつられてモジモジしてくる。
スワンボート前に待機しているおじさんの指示にしたがう。俺が先に乗ると、由希くんのバランスが崩れないように手を差し出す。由希くんは俺の手を掴んでくれた。
「由希くん、お金多く出してもらったから俺が漕ぐ」
「あ、ありがとう……」
スワンボートは自転車のように、足元のペダルを漕いで進んでいく。予定では俺が全額出しても、俺がたくさん漕ぐつもりでいたけれど。しばらく無言なふたり。スワンボートは静かな水面を滑るように進む。水が小さくチャプチャプと音を立て、由希くんの茶色い髪がそよ風にふわっと揺れていた。
少し経つと「水の周りだからか、風が冷たくて気持ちいいね」と、由希くんはわずかに微笑んだ。
速かったらもっと涼しくなれるかな?と、俺は今よりもスピードを上げて漕いだ。速すぎると由希くんが怖がりそうだから、少しだけ。由希くんもあまり力を入れないでペダルに足を乗せて、気持ち漕いでいる感じだったけど、足をペダルから離して風を感じ始めた。目を閉じて、爽やかな表情――。
由希くんの頬に触れたくなった。
だけど今触れると、由希くんは動揺してしまうだろう。由希くんを気にしながらも前を見て漕ぐことに集中した。
由希くんは湖面を見つめ、静かに口を開いた。
「律くん、僕ね、トマトが嫌いな律くんも、好きだよ――」