【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
 アパートに着くと、玄関の中まで入ってくれて僕の重たい荷物を置いてくれた。僕が律くんにボディバッグを返すと律くんはバッグの中をあさって、何かを取り出した。

「由希くん、これ、お土産」

 小さな紙袋を僕は受け取る。

「お土産? いつ買ったの? 遠足で? ありがとう」
「さっき公園で、トイレに行く途中に買った」
「そうだったんだ、ありがとう!」
「じゃあ、また明日」

 律くんはドアを開けようとする。

「律くん、待って?」

 僕は律くんを呼び止めた。呼び止めた理由は――。

「律くん、僕は昔からプレゼントや何かをもらうと、くれた本人の前で開けるのが……なんて言えばいいのか、もらったプレゼントを見て反応するのが苦手で開けられないんだけど、でも律くんの前では開けたいなって思って……」

 律くんは何も言わずにじっと話を聞いてくれている。

「あのね、今、律くんがくれたこの袋を開けても、いい?」

 律くんが「ふふっ」と口に手をやりながら笑った。
 声を出して笑うのは本当に珍しい。その仕草にドキドキして息苦しくなった。告白されてから、律くんに対しての感覚が以前よりも敏感になっている気がする。

「今の僕、何か変なこといっちゃった? 話しているうちに何を言ってるのか分からなくなってきちゃって。もう本当に説明するのが苦手で……」
「いや、変じゃないよ。開けてみて?」

 どんな反応でも受け入れてくれるような、優しい眼差しで僕を見守ってくれている。僕は封をしている袋のテープを紙が破れないようにドキドキしながら丁寧に剥がした。

 中を覗くと薄紫色の小さくて可愛い巾着と、向日葵の種が入った小袋が見えた。そしてさっき公園で嗅いだラベンダーの香りもしてきた。ラベンダーのポプリと向日葵の種だ。

「ラベンダーの香り、癒されて好き。向日葵の種も、黄色い野菜の花に似合うし、畑に植えたい」

 僕は自然に笑みが零れてくる。

「嬉しい反応と感想ありがとう。好きって言ってもらえて、良かった」

 とてもシンプルすぎた気がするけれど、感想を律くんにきちんと伝えられた。

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