【ピュア青春BL】幼なじみの君と、ずっとミニトマトを育てたい。
 律くんのお誕生日の日が来た。僕は律くんみたいに器用では無いから、上手くおもてなしができるか不安だ。 

――だけど、がんばる!

「誕生日の日は、バイトをお休みしてね」と事前に伝えておいた。勘の鋭い律くんなら、お願いした理由を瞬時に察知しただろう。
 
 十月十日は平日だったから、前日に部屋を綺麗に掃除して『HAPPY BIRTHDAY』のバルーンを飾ったり、事前に調査しておいた律くんの好きな料理を作ったりもした。ケーキはお菓子作りの講座の先生をたまにしているお母さんに、スポンジを作っておいてねとお願いしておいた。生クリームやバナナ、採れたイチゴを乗せるのと、『律くんおめでとう』とチョコペンで書いた板チョコを乗せる作業は僕がやる。

 今日も律くんと一緒に下校した。特別な日にも一緒に登下校してくれるなんて、幸せだな――。

「では、十八時ぐらいに、家に来てください」
「分かった」

そう伝えて「また後で」と言い合うと、それぞれお互いの家に入っていった。

そっとドアを開けて、外に律くんの気配が完全になくなったのを確認するとこっそり畑に行った。素早くきゅうりとイチゴ、トマトをもぎ取り、再び家の中へ。律くんに対してはいつも思うのだけど、お誕生日という特別な日には特に、もぎたて新鮮な美味しいものを食べてほしかった。

作戦を考えた時は、もう寒くなってくる季節だから日に日に採れるものが少なくなってくるし、どうかなぁ?って考えていた。けれど数日前、当日はちょうど良い感じの実になっていそうだなと確認できた時には、ほっとした。

 リビングの壁時計を確認すると約束した時間の五分前。そろそろ来そうだな。

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