チャラい社長は私が教育して差し上げます!
「チャラかった直哉を、少なくても外見はまともな男に変えたのは、舞さんの力だと思うの」

いや、中身もちょっと、良くなってるんですけど?

「おお。確かにそうらしいな。秘書課の課長が言ってたよ」

と、お父様は言ったのだけど、あの篠崎課長がそんな事を言ったの?
信じられない。でも、ちょっと嬉しいかも。

「家柄とか、関係ない。うちは普通の家だし」

って亜希子さんが言ったけど、それはちょっと、違うと思いますけど?

「舞さん、これからも直哉のサポート、お願いしますね?」

「は、はい!」

「でも、会長が黙っていないのでは……」

お母様が、最初の勢いはどこかへ行ったようで、頼りなげにそう呟いた。

すると、すぐに亜希子さんは、

「もし会長が何か言って来たら、私が言い返してやるわ」

と言ったのだけど、

「いや、その時は私が言う。だが、そんな事にはならないと思う。確かに会長は孫娘に甘いが、決して愚かな人ではないと思う。だから、今日はここへ来られなかったと、私は思ってるんだ」

そうお父様は仰った。やっぱりお父様と直哉さんは性格が似ているなと思った。普段はちゃらんぽらんでも、いざという時は男らしさを発揮する、みたいな?

「そういう事なので、本阿弥さん、お引き取り頂けますか?」

お父様がそう言うと、紗耶香さんのご両親は立ち上がり、お父様に会釈すると、「イヤだー」と駄々をこねる紗耶香さんを、抱き抱えるようにして帰って行った。

その後はみんなで少し談笑し、お父様から夕飯を勧められたのを直哉さんがお断りし、私達は神徳邸を後にした。

「舞、やったな!」
「うん、良かった!」

私達はR2020に乗り込むやいなや、どちらからともなく抱き合った。

「なんで泣いてんだよ?」
「だって、嬉しいんだもん。怖かったし……」

「そっか。じゃあ、慰めてやるよ」

「あ……ん……」

私達は、甘い口付けを交わした。

「早く帰りてえー」
「私もだけど、お腹空いちゃったな」

「確かに。寿司でも食うか?」
「食べる食べる」

という感じで、私達は廻らないお寿司をたらふく食べ、直哉さんのタワマンに帰ったのだった。
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