チャラい社長は私が教育して差し上げます!
私が息を飲んで見守っていたら、役員3人の全員が手を挙げた。
よっしゃ!
私と社長は、笑顔で向き合った。もしここに二人だけなら、間違いなく抱き合って喜びを分かち合うところだけど、さすがにそれは自重した。
ちなみに、挙手は3人同時ではなかったと思う。
まず最高顧問が挙手し、それを見てCOOが挙手し、二人を見てCFOが挙手したように私には見えた。結果オーライだから、別にいいんだけども。
私はブラインドを開き、部屋の照明を明るくしたのだけど、それを待っていたかのように、
「麻生君、持株会社の設立なんだが、いつ頃になるのかね?」
と、最高顧問が重々しい声で言った。それに対し、COOの麻生さんは、
「2ヶ月後ほどかと」
やはり重々しい声で答えた。
私は、たぶん社長も、度肝を抜かれたと思う。なぜなら、持株会社の設立は、即ち経営統合の完了を意味するわけで、『ガッちゃんプロジェクト』のタイムリミットは2ヶ月しかない、という事になるからだ。
私達は、暗黙の内に経営統合はもっと先の事と考えていたふしがあった。例えば私の場合は1年後、早くても半年後ぐらいと考えていた。正に希望的観測というやつだと思う。
「直哉、『ガッちゃん』は2ヶ月で完成するのか?」
「恐らく、出来ません」
社長、いや直哉さんは、悔しそうに唇を噛んだ。
「麻生君、何とか引き延ばせないだろうか。どんな手段を取ってでも構わないから」
「そうですね……4ヶ月後ぐらいに延ばせるかもしれません。ただし、社長に出張って頂く事が絶対条件になります。社長以外が交渉したのでは、無理です」
よっしゃ!
私と社長は、笑顔で向き合った。もしここに二人だけなら、間違いなく抱き合って喜びを分かち合うところだけど、さすがにそれは自重した。
ちなみに、挙手は3人同時ではなかったと思う。
まず最高顧問が挙手し、それを見てCOOが挙手し、二人を見てCFOが挙手したように私には見えた。結果オーライだから、別にいいんだけども。
私はブラインドを開き、部屋の照明を明るくしたのだけど、それを待っていたかのように、
「麻生君、持株会社の設立なんだが、いつ頃になるのかね?」
と、最高顧問が重々しい声で言った。それに対し、COOの麻生さんは、
「2ヶ月後ほどかと」
やはり重々しい声で答えた。
私は、たぶん社長も、度肝を抜かれたと思う。なぜなら、持株会社の設立は、即ち経営統合の完了を意味するわけで、『ガッちゃんプロジェクト』のタイムリミットは2ヶ月しかない、という事になるからだ。
私達は、暗黙の内に経営統合はもっと先の事と考えていたふしがあった。例えば私の場合は1年後、早くても半年後ぐらいと考えていた。正に希望的観測というやつだと思う。
「直哉、『ガッちゃん』は2ヶ月で完成するのか?」
「恐らく、出来ません」
社長、いや直哉さんは、悔しそうに唇を噛んだ。
「麻生君、何とか引き延ばせないだろうか。どんな手段を取ってでも構わないから」
「そうですね……4ヶ月後ぐらいに延ばせるかもしれません。ただし、社長に出張って頂く事が絶対条件になります。社長以外が交渉したのでは、無理です」