【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
絶対に、振り返らなかった。
このままじゃ、泣いてしまう。

涼介は、悪くない。
涼介は、誰よりも真剣に、人を救おうとしている。
その背中が、私には、誰よりも誇らしかった。

──なのに、私は、どうしてこんなに寂しいんだろう。

小さな背中を向けたまま、必死で涙をこらえる。

涼介が、今、そばに来てくれないことくらい、わかってる。
それでも、本当は──ほんの少しだけでいいから、ぎゅっと抱きしめてほしかった。

心の中で、何度も何度も、自分に言い聞かせる。
『大丈夫だよ』『わがまま言わないで』『待ってあげなきゃ』

でも、こらえたはずの涙が、頬を伝って落ちた。

声を殺して、そっと袖でぬぐう。
こんな自分、涼介には、絶対に見せたくなかった。

涼介を困らせるだけだと、わかっているから。

だから、背中を向けたまま、ただ静かに、震える肩を押さえつけた。

──大丈夫。
ちゃんと、待つから。
涼介が、戻ってくるその日まで。

だから、今は、たった一人で、この寂しさと闘おう。

そうやって、心の中で、そっと自分に言い聞かせた。
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