【番外編】イケメン警察官に2人ごと守られて。
エレベーターに乗り込むとき、美香奈はふと立ち止まり、
裁判所の広いロビーを振り返った。

一年前、自分はここで絶望しか抱えていなかった。
今こうして、自分の足で立ち、未来を選び取ろうとしている。

――全部、一人じゃなかったからだ。

ふっと小さく笑うと、涼介が隣から囁いた。

「行こうか、未来に」

美香奈は、その言葉に応えるように、小さく頷いた。

真木弁護士はそんな2人を見ながら、
「まったく、若いっていいねぇ」と優しく肩をすくめた。

ガラス越しに差し込む秋の光は、
まるで2人の行く末を祝福するかのように、柔らかく降り注いでいた。

――これで、本当に一区切り。

美香奈は、心の中でそっと区切りを打った。

未来へ、一歩ずつ。 今度こそ、幸せだけを、重ねていくために。

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