ぶどうジュースと夏の誓い
「誤解ないように伝えるよ。うち、結構な資産家だから! 車も3台あるし、1台なんて、レアなビンテージだし。俺の部屋も結構広い。この塾の二階の三倍くらいはある。ただ、スッゲー、親がケチなんだよ! コンビニでの買い食い禁止で、テレビも見せてもらえない。夕飯に、お寺の精進料理みたいな健康食食べてる」
速水さんの謎が深まっていく。
うちの兄貴、葉月兄貴が、速水さんを嫌う理由って、「こういうところ」なんじゃないかな。
でも、わたしはもう、「沼に落ちて」しまったみたい。速水さんの顔を今日はもう、まともに見られないよ。
彼の席はわたしの隣。足を少しだらしなく投げ出して座ってる。道場育ちのわたしや兄貴と違って、正座が苦手なんだと思う。
お行儀の悪さが尊い。いつか、男の人に、わたしのピュアな部分を「壊されて」しまうなら、それは速水さんなんだろうな。とわたしは密かに思ってる。
湘南の海辺で、背後から、ギュッと抱きしめてほしいよ。
なんて、思ってるのが彼や璃奈ちゃんにバレたら、わたしはもうどうしようかと思う。