ぶどうジュースと夏の誓い

 でも、両目1.0の視力のわたしにはその画面が見えてしまう。そのゲーム、「英語脳筋」というガチ系勉強アプリじゃん! さりげなく勉強してるよね。

 速水朔《はやみ・さく》という名前のその男子は、わたしや兄貴と同じ学校に通う中学二年生。兄貴はなぜだか、その男子くんを「気取ってやんの」と目の敵にしてるの。気取ってるというか。せっかくイケメン男子なのに、いつも眠たそうでダルそうなのがもったいないな、とわたしは思う。だけど、成績は万年、学年一位なんだ。
 全国模試でも結構上位にいたりするの。

 速水さんのサラサラストレートの髪。少しもとから茶色っぽいんだろうね。もし触れたら柔らかそうな髪。見てるだけで幸せ! 今日も彼と同じ塾で、勉強がんばろ。

 速水さんは「ごちそうさまです」と小さく言って、お茶碗を親父さんのところに持って行ってた。もう食べ終えたんだ。さすが男子だね。見てると、目と目が合ってしまった。
「おはよう。速水さん」
 わたしはなぜだか、彼に「さん」をつけてしまう。

「お兄さん、関東大会出るんだってね。今日だろ」

 意外なことを速水さんは言って、
「先に二階上がってる」と素っ気なくわたしに声をかけた。

「もう少し、下にいればいいのに」
 わたしはつい、速水さんに言ってしまった。清算を済ませてた速水さんは、こちらを見て柔らかに笑ってた。
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