ぶどうジュースと夏の誓い
効きの悪い冷房がぶおんぶおん鳴ってるこの店内。だけれど、時折、由比ヶ浜からの潮風がさあっと入るの。
「赤嶺さんって、兄貴と仲いいの?」
清算を済ませた速水さんは、ぼそりぼそりとわたしに聞いてきた。スマホゲームに相変わらず目を落としてるけど、ちゃんとわたしに対する「質問」。
「仲良かったのは小さな頃。最近ね、すごくピリピリしてるよ。夕飯時とか」
速水さんに愚痴を言っても仕方ないのにな。
心に溜まってるものを吐き出さずにはいられなかった。
「関東大会ってプレッシャーなんだよね。わかるけど、まるで以前の兄貴じゃなくなったみたいでさ」
「まあー。仕方ないよね」
意外にも、速水さんは兄貴の肩を持った。
文句の一つでも言おうと思って彼をにらむと、速水さんは「目力《めぢから》。こわ」と言って柔らかに笑ってた。
塾の時間が来たので、わたしたちは二階に上がった。