幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?
ベランダで洗濯物を干していると、沙菜が玄関から出てきた。
制服姿で自転車にまたがる沙菜。
そうか、沙菜は美術部だから、部活に行くんだな。
随分遠い存在になってしまった気分だ。
そうしてしまったのは自分なんだろうけど。
長い髪が風に揺れる沙菜の後姿をなんとなく見送った。
オレが洗濯を干す時間と、沙菜が部活に行く時間は、どうやら同じようだ。

それから毎日のように、ベランダから沙菜を見送るようになった。
以前なら、ベランダから沙菜をからかって遊んでいたのに。
沙菜はオレには全く気付いていないようだった。

夏休みも半分が終わる頃。
そろそろ出てくる時間を過ぎても、沙菜は姿を見せなかった。
今日は部活がないのかもしれない。
洗濯も終わり、部屋に入ろうとしたところで玄関の開く音がして、オレはベランダから身を乗り出した。

「え…」

小さく声が漏れて、気付かれるのではないかと一瞬焦った。
どうしたんだ、今日は。
沙菜は私服だった。
クリームイエローの柔らかい布のワンピースと白いサンダルにカゴバッグ。
一瞬別人かと目を疑ったけど、紛れもなく沙菜だ…。

なんだよ…。
妙に女の子っぽい格好してるじゃねーか。
そんな服、見たことねーよ。

沙菜は自転車には乗らず、駅の方へ歩いて行ってしまった。
妙に落ち着かない気分になった。
そんなとき、飯嶋から誘いのLINEがきた。
夏休みの間、他の女子からも度々LINEがきていて面倒で放置していたけど、今日は応じる気になった。
無性にやりたかった。
誘われるままに飯嶋の家に行くと、驚かれた。

「今日も無視されると思ってた」

「たまたま、気が向いただけだ」

「ふ~ん、いいけど」

飯嶋の、こういう拘らないところが楽でいいい。
クーラーの効いた部屋で久しぶりのセックスをした。
だけど、なぜだか集中が途切れる。
ワンピースを着た沙菜の姿が何度も頭にチラついた。

もし、飯島が沙菜だったら?
目を閉じて妄想した。
それは物凄く甘美で、オレを一層興奮させた。
飯嶋とセックスしてるのに、まるで沙菜で自慰しているようだった。
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