タイプではありませんが
「だから営業の基本は?って聞いたの?」
「ん、なんのことかなぁ」
ニヤリと笑う星野に楓はガックリと肩を落とした。
諦めない。営業の基本だと話していた星野。きっと楓のことも諦めないのだろう。
最後のデートの時、変な質問だとは思ったのだけど。
「山下、詰めが甘いよ」
不敵に笑う星野に楓は苦し紛れに吐き出した。
「……タイプじゃない」
「見た目は、だろ?」
やけに自信ありげにいう星野。
「俺は山下のこと、女性としか見ていないし、自分でいうのもなんだけど包容力もある方だよ」
そんなこと。
「……知ってる」
「なら」
星野の目が変わる。スマートでなんでもそつ無くこなす同期の顔から、一人の男として女を見る熱っぽい目。
「俺のものになってよ」
あぁ、駄目だ。こんな目で見られたら。
鍵が緩む。
抑えていた想いが溢れてくる。