嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして
(美琴の怯えた顔を見たくない。俺が守るから、あんな男の存在なんて忘れて笑っていてほしい)

 切に願ったとき、遥臣は元婚約者に惹かれていると気づいた。

 思えば、陽菜の病室で美琴の笑顔を見た瞬間から、心を掴まれ続けていたのだ。一度認めると彼女への想いはどんどん膨らんでいった。

 医師という仕事には真摯に全力を尽くしてきたつもりだが、それ以外でここまで心が動くのは初めてだった。

 美琴は妻としての役割を十分すぎるほど果たしてくれいる。家事はもちろん、遥臣の身の回りの世話や付き合いに気を配り、病院では出しゃばらない程度にスタッフと交流してくれている。

 高飛車を地でいっていた昔の美琴とは思えない。
 彼女をここまで変えたのは実家の没落がきっかけだが、元々真っ直ぐな性格なのだろう。そして変わろうと努力したのは本人だ。

 そんな美琴が愛しすぎて、顔を見るとつい触れてたくなってしまう。
 抱きしめると疲れが取れるなどと言ったが、実際そうだ。一方、男としての劣情も抑えきれなくなってきている。
 どうしたらいいかわからなくて、頬を染めている彼女の様子を目の当たりにするとなおさらだ。
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