嫌われているはずが、まさかの溺愛で脳外科医の尽くされ妻になりまして
 存在感に圧倒されながら、恐る恐る左手を目の前にかざす。日差しに反射し、ダイヤはいっそう輝きを放った。

「よく似合ってる」

 遥臣は眩しそうに目を細めている。

「……嬉しい。ありがとう、ございます」

 こんな素敵な指輪を自分のために準備してくれていたと思うと、胸が一杯になる。せりあがった想いは涙となり、ダイヤの輝きを徐々に滲ませる。

 遥臣は幸せに声を詰まらせる美琴に手を伸ばし、目尻をぬぐってくれた。やがてその手は頬を優しく包む。

「幸せにする」

 ささやきと共に顔を引き寄せられ、唇がそっと重なる。

 冬の風がふたりのコートを揺らしたが、やはり寒いとは思わなかった。


 
 マンションに帰り、遥臣に促され先に風呂に入った美琴は、部屋着で所在なくリビングのソファーに座っていた。

(あぁ、こういうときはどうしたらいいの……)

 美琴と入れ替わりでバスルームに向かった遥臣。遠くにその気配を感じながら、美琴はひとり心臓をバクバクさせていた。

 彼は車の中でも、途中夕食に立ち寄ったレストランでもいつもに増して甘い視線でこちらを見つめてきた。
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