この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 慶介は一度深呼吸をしてから、将人に冷静に告げる。

「将人、今すぐに親から明日香の見合いの情報を訊き出してくれ。いつ、どこでやるのかがわかったら、連絡してほしい。俺は今から山口に向かう」

 跡継ぎ問題が絡んでいるなら、見合いは彼女の地元で行われるはずだ。詳しい場所は移動中にわかればいい。とにかく今は一秒でも早く、彼女のもとに駆けつけることが大事だ。

 慶介の強い意志が伝わったのか、将人は勢いよく返事をしてくれる。

「わかった! 絶対に連絡する」
「ありがとう、将人。頼んだ」

 慶介は電話を切ると、最低限の荷物だけを持って家を出た。愛する彼女のもとへと行くために。

 この旅の往路は絶望にまみれた一人旅だ。けれど、復路は幸せに満ちた二人旅になると、固く、固く信じていた。
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