真夏の一夜は恋の始まり
「何か最近の私大一の家ばっかり通ってて、通い妻みたいだね?」
ドキっ
何の気なく言ってんだろうけど、俺は過剰に反応してしまう
本当に妻になればいいのに
なんてそんな事言えるわけない
「たまには外で食べてもいいけど?」
俺は誤魔化すように言った
「いつも来たら迷惑?」
不安そうに花凛が訊ねる
「いや、迷惑じゃないけど、毎回作ってもらうのも悪いから」
いつもそうだ
誤魔化して本当のことが言えない
歯の浮いたセリフ一つ言えない
「じゃあ私、あんまり来ない方がいいかな?」
いや。そういうことじゃなくて
「来ちゃダメなわけじゃない。来るのは嬉しいし」
俺は弁明するように言った
本当の気持ちを伝えるのは難しい

「そっか。ならいいけど」
花凛はそう言うと肉じゃがを頬張っている

はー。本当の気持ちを表に出すのは難しい
花凛は早々にご飯を食べて食べ終えた食器を洗っている
一緒に暮らすとか、結婚とか考えてなさそう
今日もご飯を食べたら帰るのだろう
俺は中々言い出せないこの気持ちがもどかしくて1人どきまぎするのだった
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