極上御曹司からは逃れられない運命でした
それから何杯か飲み進める。

こうしてお酒を飲むのも久しぶりだ。

そろそろ帰ろうと思い支払いを済ませて店から出て、外の空気を一度吸う。

日本の夏はムシムシするな。

歩いて帰っていると、ドンと酔っ払いのオヤジとぶつかって肩からかけていたミニバッグが地面に落ちる。

酔っ払いはそんな事も気付かずに行ってしまった。

ああもう!

中身が飛び出ちゃったじゃないのよ!

財布や携帯を拾って少し離れたところまで行ってしまった鍵を拾おうとすると…

「あっ! ちょっ!」

次々にやってくる人に蹴飛ばされ、なんとそのまま側溝の隙間から下に落ちてしまったではないか。

なんて最悪な日だ。

まさに…

なんて日だ!

もうムンクの叫びのようなポーズを取りたいくらいだ。

私は恥ずかしく思いながらも、側溝の隙間に手を入れてブロックを持ち上げようとするも重たすぎて上がらない。

「何か落としたのか?」

その時救世主が現れた。
私は振り返らず返事だけをする。

「そうなんです! 鍵を落としてしまったんです」

ぐぬぬぬっ!
持ち上がらん!

この下にあるのはわかってるのに!

これじゃ部屋に入れないじゃないか!
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