極上御曹司からは逃れられない運命でした
「おい」

すると急に後ろから声をかけられた。

え…!?

この声…は…

ギギギギと音を立てるように私はゆっくりと振り返る。

そこにはやっぱり一番会いたくなかった彼が見下ろしていた。

司輝さん…

なんでいつも急に現れるのよ…

「どなた様?」

私はすっとぼけてみる。

「へぇ。あんなに可愛がってやったのに、もう忘れたのか。ならまた可愛いがってやらないとな?」

そう言ってクイっと顎を掴まれ見上げさせられる。

ハラッとキャップの上から被っていたフードが落ちた。

私は目をそらし苦笑いする。

「なんで何も言わずに帰った」

なんか怒ってる?

チラッと司輝さんを見るとやっぱり綺麗な顔の眉間にシワを寄せて私を見下ろしていた。

非常に不機嫌そう。

「ふふっ。もしかして、寂しかったんですか?」

あり得ないでしょ。

なのに何でこんな聞き方するのか自分でも分からない。

「だったら?」

え…?

「堕ちろよ」

そう言ってここが外だというのに唇を奪われた。
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