極上御曹司からは逃れられない運命でした
「なぁ」

「なに?」

「何でさっき俺を引き止めた?」

凛花は畳んでいた手を止めた。

「わ、わかんない…」

あんな風に衝動的に抱きしめた事なんてなかった。

お前以外には。

初めての夜だってそうだ。
玄関に入るなりキスをして。

今だって…

本当はもっとくっついていたい。

「キスしたら怒る?」

「ねぇ。さっきの話しもう忘れたの?」

「覚えてるよ」

俺はそっと凛花の頬に手を添える。

「何もしないって言ってたじゃない…」

「うん」

唇を見つめながら親指の腹でなぞる。

「ここカメラついてるよ?」

こいつ、キス自体は嫌じゃないのか?

「ならカメラが無い所ならいいって事?」

「だめ…」

そんな事を言っても、凛花の視線は俺の目と唇に交互に向けられている。

「それ、本当に?」

その時他の客が入ってきて俺は手を離した。

凛花はそのまま服を畳み終えバッグに詰めると店を出て行く。
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