極上御曹司からは逃れられない運命でした
自分でテンパってここまで来ておいて、さんざん迷惑をかけておいて私は身勝手な女だ。

「凛花」

目を合わせない私に、司輝は意外にもこれまでで一番柔らかい声で呼んだ。

鼓膜が震える。

いや、あの時も…

ベッドを共にした時も、司輝の声は低いのに甘く囁いて柔らかい声だった。

思い出して耳が熱くなる。

見られないようにそっと耳にかけていた髪を下ろす。

「はぁ…」

司輝はため息を吐いた。

「もう、やめにしないか?」

え…
何を…?

私はつい意外な言葉に顔を向けてしまう。

司輝…?

司輝は眉を少し下げて困ったように、それでも口元には笑みがあった。

「凛花」

そして私の髪に触れ、また耳にかけられてしまう。

見つめられ、何故か目をそらせない。

何かの呪縛にでも囚われてしまったかのように。
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