両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「千愛。演奏していた男とこの目の前の男は#菱水__ひしみず__#音大附属高校で同級生でバイオリニストの陣川知久とチェリストの深月逢生だ。俺の仕事仲間」

「唯冬の親友の一人」

逢生さんは仕事仲間を訂正し、すっと手を差し出すとドヤ顔で握手をした。
『なにが親友だ』と嫌そうな顔をしている唯冬を見てにやりと笑ってみせた。

「おー!二人とも来てくれたんだー!」

アンコール中だというのに知久さんは舞台からバイオリンの弓を振りながら、二人に声をかけた。
その瞬間、視線が集中する。

「えっ!ピアニストの渋木唯冬とチェリストの深月逢生もきてるの!?」

「この三人がそろうところ見れるとか、すごいラッキーじゃない?」

見られたくないのに―――隠れようとした私に気づいてか、さっと大きな背中で隠してくれた。

「おーい!どう?一緒に?」

「ノーギャラでは弾かない」
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