両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
そして不敵な笑みを浮かべると公演の成功からの高ぶりからか、恋人にするようにバイオリンにキスをした。
ぎゃーっ!と悲鳴のような声が観客席から巻き起こり、心配になるくらいの盛り上がりをみせた。
空調はきちんとしてあるはずなのになんだか熱い。
ただおじぎをしているだけなのに声はあがり続けていた。
クラッシック音楽のコンサートなのに……大丈夫?これ?と思いながら、唯冬を見るといつものことなのか、呆れた顔をしていた。

「よくやるよ……」

「唯冬もやれば、きっと盛り上がるよ」

落ち着いた声がした。
この歓声の中で落ち着いていられる人がいるなんてと思いながら声の方を向く。
すぐ前の席にその人はいた。

「#逢生__あお__#。お前、来てたのか」

「知久が無理やりチケットを押し付けてきたからね」

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