両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
じゃないと、なにを要求されるかわからない。

「なかなか賢いな。そうだな。いつか俺と一緒に演奏をするってのはどう?」

「一緒に?でもまだそんなレベルじゃないし……」

「だから、『いつか』だ。急がなくていい」

「それなら……」

いつになるかわからないけれど。
忘れてしまうくらい先になるかもしれない。
でも、唯冬なら待っていてくれる。
そんな気がしてうなずいた。

「じゃあ、着替え用意してあるから、シャワーを浴びて着替えて」

「着替え?」

「昨日のうちに用意しておいた」

満面の笑みで紙袋を渡された。
下着からスーツ、靴、バッグまで一揃え、綺麗な包装紙に包まれてプレゼント用の箱に入っている。
最初から私がここで一晩過ごすことがわかっていたみたいで、これはもう計算通りってこと―――?
探るようにじっと唯冬を見つめた。

「なに?早くしないと遅刻するけど?」

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