きみの笑顔が咲く日まで

わたしは出勤すると、取引先からの発注を確認した。

その中でもいつも一番に目についてしまうのが"株式会社W.T"。

実は、株式会社W.Tは新のお父さんである渡利透社長が経営する会社なのだ。

入社した当時は取引先名簿に社名が載っていて驚いた。

しかし、所詮わたしは事務員。
社長であるおじさんと関わる機会など無い。

わたしがまだ渡利家と親しくしていただいていた頃は中小企業だったのに、今では大企業へと成長していて、うちの会社の一番のお得意先様だ。

凄いなぁ、おじさん。

もし、新が生きていたら、、、
何て考えてしまうわたしだったが、気持ちを切り替えて業務にあたった。

すると、珍しく事務所に社長が顔を出しに来て、社員全員驚きながら「お疲れ様です。」と挨拶をした。

社長は「お疲れ様。」と返すと、事務所内を見回し、それからわたしの姿を見て目を止めた。

「君、楠木さんだったよね?」

社長に話し掛けられるなんて滅多にあることじゃない為、わたしは緊張気味に「はい。」と返事をした。

「ちょっと話があるんだが、社長室まで来てくれるかな?」

え、わたしが社長室へ?

何?わたし何かやらかした?

わたし、、、もしかしてクビにされるとか?

そんな不安を抱きつつ、わたしは社長と共に社長室へと向かった。

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