「逃げていいんだよ」と彼は言ってくれた。
背中に隠した本を開き、【相手が触れるのは好意がある証拠】という文面をもう一度読む。かなり都合のいい解釈かもしれないけど、本に書いてある通りなら、私の額に触れた先生は私に好意を持ってくれていることになる。お昼ご飯に誘ってくれたのだって、好意の現れではないだろうか。
まさか先生、私のことが好きだったりして。
期待に気持ちが弾む。
服に気を配っていて良かった。新しく買った服を着たくて、今日はオフホワイトのカーディガンとネイビーのワイドパンツを合わせている。爽やかな印象のコーデだ。
先生とお昼楽しみだな。
ウキウキとしながら、他の本も物色する。デザインの本が視界に入った。
『藍沢、会社に戻って来ないか?』
一昨日の夜、高坂さんに言われた言葉が胸に過る。
もう高坂さんと一緒に働くのはごめんだけど、デザインの仕事に未練はある。自分のデザインしたものが世の中に出回るのを見るのは嬉しい。
大手の映画配給会社から依頼を受けた映画ポスターのデザインをした時は、私のデザインが街中に溢れるのを見た。あの時、デザインの仕事ってすごいと思った。心が震えるような仕事だった。もう一度、そんな仕事がしてみたい。
でも、自信がない。もう私はあんなに頑張れない。
デザインの本に背を向け、その場を後にした。
まさか先生、私のことが好きだったりして。
期待に気持ちが弾む。
服に気を配っていて良かった。新しく買った服を着たくて、今日はオフホワイトのカーディガンとネイビーのワイドパンツを合わせている。爽やかな印象のコーデだ。
先生とお昼楽しみだな。
ウキウキとしながら、他の本も物色する。デザインの本が視界に入った。
『藍沢、会社に戻って来ないか?』
一昨日の夜、高坂さんに言われた言葉が胸に過る。
もう高坂さんと一緒に働くのはごめんだけど、デザインの仕事に未練はある。自分のデザインしたものが世の中に出回るのを見るのは嬉しい。
大手の映画配給会社から依頼を受けた映画ポスターのデザインをした時は、私のデザインが街中に溢れるのを見た。あの時、デザインの仕事ってすごいと思った。心が震えるような仕事だった。もう一度、そんな仕事がしてみたい。
でも、自信がない。もう私はあんなに頑張れない。
デザインの本に背を向け、その場を後にした。