恋とクリームソーダ
2025年、夏
25歳。
取引先との飲み会で酔っ払ったオッサン(シノダさん)に絡まれる。
「榎本ちゃん、昔はね女の子はよくクリスマスケーキと一緒だって言われてたんだよ。」
「はい?」
飲み会も終盤、騒がしい店内でオッサンの声が聞き取りにくくて聞き返す。
「24までは売れるけど、25からは売れなくなるって。今の彼氏と別れない方がいいよ〜。」
このセクハラの塊みたいな人間が取引先のお偉いさんなんだからたまったもんじゃない。私がもし、あんたの肩書き知らなかったら、この卓の上に置いてあるピッチャー全てこのオッサンにぶちまけてるところだったわ、そんなことしたらおまえのハゲ加速しちゃうかもな!
よかったな私があなたの役職を知っていて。飲まされまくっても理性を保てるほど酒に強くて。
感謝しろよ、ハゲ。
なんて、言えない。
言えないから、ハハ…笑 って私は笑うだけ。
あ〜誰かこのハゲの相手してくれねえかな〜〜ってあたりを見渡すけど、私の周りには誰もいなくて。
そのとき、
「あれ〜シノダさん、若い子つかまえて、なんの話してるんですか?私とお話ししませんか〜?」
ってズリズリとあまりにも不自然に私とシノダさんの間に割って入ってくれた人。私の上司・池田さん。
綺麗で仕事ができてハキハキしてて、めちゃくちゃかっこいい、人としても上司としても私の尊敬してやまない人。